
「動画配信」してますか?弊社は毎日のように世界に映像を届けています。
このコラムではざっくり理解する動画配信の仕組み「ライブ配信からアーカイブ配信まで」について記載します。
ライブ配信の映像を配信するにはどのようなフローや技術が必要なのか、全容を把握することの一助になれば幸いです。
1.ライブ配信のフロー
イベント会場で撮影した映像をイベントの中継ページに表示するには以下のようなフローが実施されています。
- イベント会場で映像を撮影
- 映像データをリアルタイムで「動画配信に適した形式」に変換
- 変換したデータをネットワークを介して配信サーバーへリアルタイムに送信
- 配信サーバー(オリジン)から、CDNにデータを配置
- 視聴者がイベントのWebサイトにアクセスし、CDN経由で"視聴プレイヤー"から"ライブ映像"が視聴可能
Tips1:ライブ配信の心臓部
以下の要素が品質と安定性を左右する鍵となります。
「映像のフォーマット(エンコード)」と「配信サーバー(オリジン)やCDNへのアップロード(インジェスト)」
- エンコード
カメラで撮影された高品質な映像(ソース)を、インターネット配信に適したフォーマットに変換します。一つの映像(ソース)を複数の映像品質に変換し、この処理で適切な設定をすることにより、様々なネットワーク環境下でもスムーズな視聴体験を提供できます。
ライブ配信においては、これらをリアルタイムに処理する必要があります。 - インジェスト
エンコードされたデータを、安定かつ高速に配信サーバー(オリジン)へ送信するプロセスのことを指します。この処理にはRTMPSやSRTなどの専用プロトコルが利用され、データの損失が最小限に抑えられます。安定したインジェストは、視聴者へのシームレスな映像提供の基盤となります。
Tips2:What's Origin Server?
ここでいう配信サーバーは一般的に"Origin/オリジン"と呼称されることが多いです。
なぜ"起源"を意味する言葉を称するかの理由には、CDN(Content Delivery Network)が絡んできます。
CDNはコンテンツをキャッシュ(コピー)するサーバーシステム群のことです。つまり配信サーバー(オリジン)は、ファイルのコピー元になります。
そのため、オリジナル=オリジンという呼称がついています。
※視聴プレイヤーについて詳しくは、弊社コラムをご覧ください。
2.アーカイブ配信/オンデマンド(VOD)配信
アーカイブ配信/オンデマンド(VOD)配信は、ライブ配信に比べシンプルで"インジェスト"の部分が、ファイルアップロードとなる動作に変わります。
- 配信したい映像ファイルを用意
- Webシステムに映像ファイルをアップロード
- 映像データを"動画配信に適したフォーマット"に変換
- 変換したデータをネットワークを介して配信サーバー(オリジン)に送信
- 配信サーバ(オリジン)から、CDNにデータを配置
- 視聴者がWebサイトにアクセスすると、CDN経由で「視聴プレイヤー」から「アーカイブ映像」を視聴できます
ライブ配信で生成したファイルや仕組みを利用してそのまま配信する形式や、作成したコンテンツに編集を加えたライブ映像をエンコードして利用する方法もあります。
3.動画配信に適した形式とは?
"動画"と言えば、多くの人がMP4ファイルを想像するでしょう。
確かに、MP4ファイルをサーバー上に配置するだけでも、Webサイトで"動画を公開する"ことは可能です。
ではなぜ、HLS等の形式に変換する必要があるのでしょうか?
それは、視聴者の環境に最適化した体験を提供するためです。
視聴者が動画を再生・視聴する方法として、主に以下の3つがあります。
(1)ダウンロード再生
視聴者が完全なメディアファイルをインターネットからダウンロードし、端末に保存してから再生します。
データ形式: MP4、MKV、MP3など
ダウンロード再生
(2)プログレッシブダウンロード再生(擬似ストリーミング)
メディアファイルは視聴者が再生し始めた時点から順次ダウンロードされ、再生が進むにつれてさらにダウンロードされます。ファイルの全体がダウンロードされる前でも再生が可能です。
データ形式: MP4(ウェブ最適化)やMP3など
プログレッシブダウンロード再生
(擬似ストリーミング)
(3)ストリーミング再生
完全にダウンロードせずにデータを連続的に受信して再生するので、HLS(HTTP Live Streaming)やDASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)などのストリーミングプロトコルに対応したファイル形式が使用されます。
データ形式: HLS、DASH等
ストリーミング再生
(HLSやDASH等)
動画配信をビジネスで活用する場合はセキュリティを考慮し、視聴者の環境へファイルをダウンロードさせずに再生・視聴だけを行うストリーミング再生が求められます。
4.参考例:HLS(HTTP Live Streaming)
参考までに、一般的に利用されることが多いHLS(HTTP Live Streaming)のストリーミング配信の構成を見てみましょう。
HLS(HTTP Live Streaming)配信では以下のように動画や音声をチャンク(小さなデータ単位)に分割したファイルで構成されています
- ファイルの再生順番等の管理情報を持つm3u8ファイル
- 映像と音声情報を持った数秒単位で分割されたtsファイル
(※もしくはフラグメント化されたfmp4)
HLS配信のイメージ
動画を再生する際、視聴プレイヤーはまずm3u8ファイルをダウンロードし、次にm3u8内に記載されている実際の動画データであるtsファイルをダウンロードします。
再生順番が記載されているm3u8を基に、再生位置に対する適切なtsファイルのみをダウンロード取得させることで、動画をスムーズにストリーミング視聴することができます。
また、低画質から高画質の複数のファイルにエンコードされたファイルを視聴者のデバイスやネットワーク環境に合わせて最適な品質の動画を配信することが可能です。
5.動画配信で欠かせない単語
動画配信をご相談されるお客様から、提案時の説明やご質問される用語です。
他にもございますので、弊社 用語集をご覧ください。
6.まとめ
ここまで聞くと、動画配信というのはそこまで複雑ではないように思われるかもしれませんが、現実はそう甘くはありません。
ハードウェアやソフトウェア、配信用プロトコルへの理解が求められ、要件に応じたチューニングが必要になってきます。加えてライブ配信においては、これらをリアルタイムに処理し、映像を安定して送出する実際の"現場経験"が求められます。
上記のいずれかが欠けていると、視聴体験は大きく損なわれてしまいます。
低画質での配信、映像の乱れ、音声の途切れなどが発生します。
弊社はWebの動画配信にて、黎明期から約30年の実績があります。
お客様からご相談いただいた様々な声に対応してきた経験もございます。
- 既存のWebシステムに動画配信の仕組みを組み込みたい
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お困りごとがございましたら、お気軽にお問合せください。
