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なぜ動画配信にCDNが必要なのか?

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なぜ動画配信にCDNが必要なのか?

動画配信。してますか?
弊社では、日々世界中に映像を届けていますが、スムーズな配信を実現するためには、ただ動画配信サーバーを用いるだけでは不十分です。

このコラムでは、CDNがどのように動画配信を支え、なぜ今や不可欠な存在なのかについて解説します。

「動画配信サーバーだけで動画配信はできるんじゃないの?」と思う方の疑問解消の一助になれば幸いです。

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1.そもそもCDNってなんだっけ?

CDN(Content Delivery Network)は、その名前が表す通りインターネット上で"コンテンツ"を"届ける"ための"配信網"のことを指し、ウェブサイトのコンテンツ(画像や動画、HTMLファイル、JavaScriptなど)を、効率的かつ迅速にユーザーに届けるための仕組みのことを言います。

以下のようなステップで実現されるシンプルかつストロングなシステムです。

  1. エッジサーバーと呼ばれる多数のサーバーを世界中に分散して配置
  2. オリジンサーバーのコンテンツを、エッジサーバーにコピー(キャッシュ)し、一定期間保持
  3. ユーザーは、世界中に存在するエッジサーバーから、"最も近い"サーバーからコンテンツを取得

これにより、どこにいるユーザーでも、ほぼ同じ速度でコンテンツにアクセスできるようになります。

また、エッジサーバーにコンテンツのキャッシュが保持されることで、オリジンサーバーへのアクセス回数が減り、システムの負荷も軽減され、全体的な安定性が向上します。

2.CDNの動作の仕組み

CDNは、ざっくりと以下のようなフローでユーザーへコンテンツへのアクセスを提供します。

  • 1.ユーザーがウェブサイトにアクセス
  • 2.CDNシステムがアクセスしたユーザーから、最寄りのエッジサーバーを探す
  • 3.エッジサーバーに該当コンテンツのキャッシュがあるかどうか確認
  • 4-1.キャッシュが存在した場合は、ユーザーにはそのコンテンツが配信される
  • 4-2.キャッシュがない場合はオリジンサーバーから取得し、ユーザーにはコンテンツを配信する
    以降は取得したコンテンツがエッジサーバーにキャッシュされる

Tips:キャッシュ(cache)って?

キャッシュとは、よく使うデータを一時的に保存しておき、次回以降のアクセス時に迅速にデータを取り出すための仕組みです。

よく"頻繁に利用する資料をコピーして手元に置いておくこと"に例えたりします。

これだけ聞くと「便利な仕組みだな」と思われますが、難しいのは"資料が更新されても、手元のものは古いまま"と言う状況が発生してしまうことです。

キャッシュは古くなった情報を保持し続けるリスクを孕んでおり、特に更新頻度が高いWEBコンテンツではユーザー体験を損ねてしまう原因になります。

そのため、ユーザーに最新のコンテンツを届けるには、更新後にキャッシュをクリアし、再度新しいものに置き換えることが大切になってきます。

ちなみに、cacheは隠し場所や貯蔵所といった意味になり、現金のcashとは読みが同じのスペル違いとなります。

3.動画配信におけるCDNの重要性

ここで今回の本旨である「ライブ/動画配信にとって、CDNはなぜ必要なのか?」という部分に触れていきます。

大容量データの効率的な配信

動画コンテンツは、テキストや画像と比べて圧倒的に大容量です。
例えば、1時間の高画質動画は数ギガバイトのデータ量になることもあります。

CDNを使用しない場合の課題

この大容量データを1か所のサーバーから世界中のユーザーに配信することになり、以下の問題が発生します。

  • オリジンサーバーの負荷が急増し、配信の遅延や停止が発生
  • 遠隔地のユーザーほど読み込み時間が増加
  • 多数のユーザーが同時視聴するとサーバーダウンのリスク

CDNを使用した場合の解決策

これらの問題を解決し、ユーザーにスムーズな映像体験を届けることができます。

  • 世界中のエッジサーバーにデータを分散し、オリジンサーバーの負荷を軽減
  • ユーザーに最も近いエッジサーバーからデータを配信することで、映像の読み込み時間を短縮
  • 複数のエッジサーバーで同時に負荷を分散し、ライブイベントなどの突発的な大量アクセスにも対応

また、CDNは複数の画質を配信するHLS/DASHとの親和性も高く、組み合わせることで、視聴者の接続状況に応じた画質調整を行い、最適な視聴体験を提供します。

弊社での一例

実際にどれぐらい効率的な配信ができるのかを事例を交えて、簡単に説明します。
まずは以下のグラフをご覧ください。

CDNの秒間ヒット数グラフ

CDNの秒間ヒット数グラフ

CDNの秒間トラフィック量グラフ

CDNの秒間トラフィック量グラフ

これは弊社が配信を担当しているライブイベントのCDNグラフになります。
オレンジが"オリジンサーバー"、グリーンが"エッジサーバー"を示しており、グラフは秒間ヒット数/秒間トラフィック量をそれぞれ示しています。

秒間ヒット(アクセス数)について

  • オリジンへのヒット:20 Hits/sec
  • エッジへのヒット:8,030 Hits/sec (8.03k = 8,030)

上記をパーセントで表すと、キャッシュヒット率は 99.75% と非常に高い値を示しており、オリジンへのアクセスは わずか0.25% と、グラフとして見づらくなってしまうレベルの高い負荷軽減効果を発揮していることがわかります。

秒間トラフィック(転送データ量)について

  • オリジンへのトラフィック:15Mb/s
  • エッジへのトラフィック:16,130 Mb/s(16.13Gb/s)

こちらも非常によくキャッシュが効いており、全体のトラフィックのうち、わずか0.10%程度しかオリジンサーバーに到達していないことになり、オリジンへの負荷低減率は約99.90%となっております。

上記のことから、オリジンアクセスが1000分の1に軽減されていることがわかり、CDN導入により、オリジンは非常に高い負荷軽減効果を得ることに成功しています。

この高いキャッシュ率は、多くの視聴ユーザーは自身の環境に一番近いエッジサーバーから直接配信データを受け取ることが出来ており、シームレスな視聴体験を提供している証左とも言えます。

結果としてこのライブイベント例では、CDN導入により、突発的なアクセスへの対応、オリジンの負荷軽減効果、ストレスの少ない最適なユーザー視聴体験の提供、といったCDN導入のメリットが良く出ていることがわかる事例のひとつと言えるでしょう。

大量アクセス攻撃からの保護とセキュリティの強化

これまでCDN導入による効果、パフォーマンスについて説明をしてきましたが、その他にも悪意のある大量のアクセス攻撃に対するオリジンサーバーの保護や、セキュリティ強化といった面でもCDNは高い効果を発揮します。

CDNを導入した場合、オリジンサーバーはCDNエッジサーバーの後ろに隠れる状態となり、一般的には非公開状態の構成となります。

オリジンサーバーを非公開とすることで、攻撃が向くこと自体を防ぐことが出来ます。
エッジサーバーからのアクセスのみを許可する設定も可能であり、より強力なオリジンサーバー保護構成を取ることも可能です。

仮に大量のアクセスでサーバーを機能不全にする様なDos攻撃やDDoS攻撃を受けた場合では、CDNエッジサーバーが攻撃のクッション、遮断を行いますので、攻撃自体をオリジンサーバーへ到達することを防ぐことが出来、強力な保護効果を発揮します。

また、近年CDNを提供している企業はセキュリティにも力を入れており、特にWEBサイトに対しCDNを導入することで、以下のような恩恵を受けることができます。

  • 通信の暗号化(SSL/TLS)による安全なデータのやり取り
  • トラフィック監視により悪質なアクセスへの自動的なブロック
  • WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)の導入によりアプリケーションの保護

セキュリティ強化と本来のCDN特性である突発的なアクセスへの対応を両立することが出来る為、弊社では実際に視聴プレイヤーを実装している動画の公開サイト等へCDNを導入することで、非常に高い効果を得ることが出来ています。

4.CDNの導入の難しさ

上述した通りCDNにはたくさんのメリットがありますが、以下のような課題もあります。

設定の大変さ

導入する際には、どのような定義/ルールを適用するか?というチューニングが必要になります。
ややニッチかつCDNベンダーごとに製品のクセがあるので、CDN自体への知見が必要になってきます。

例を挙げると、キャッシュポリシーの誤設定により、"かえってコンテンツの配信が遅れる"ケースもありますので、ネットワーク状況の監視や調整が欠かせません。

また、視聴プレイヤー側では「プリロード」や「プリキャッシュ」を考慮し、最適なユーザー体験を提供できるように設計する必要もあります。

※視聴プレイヤーについて詳しくは、弊社コラムをご覧ください。

キャッシュ管理の複雑さ

上述のTipsにも記述しておりますが、適正なキャッシュの有効期限の設定や任意でのキャッシュクリア(パージ)の仕組みをシステムに組み込む必要があります。

キャッシュの有効期限が短すぎると、CDNの優位性がなくなり、長すぎるとユーザーに最新のコンテンツを届けることができずに、帯に短し襷に長しとなってしまいます。

故に、コンテンツへのアクセス頻度やコンテンツの性質を見極め、定期的なチューニングが必要になります。

弊社では、これらの煩雑で難しいCDN設定やチューニングを、専門知識を有する弊社エンジニアがお客様のコンテンツ特性に合わせ、ご提供することが可能です。

動画配信サービス 設計/構築(ホスティング)

5.まとめ

インターネットの利用が世界中で急速に拡大し、ユーザーの期待値も高まる中、CDNの重要性はますます増しています。
特にお客様に動画コンテンツを届ける弊社には、欠かせないプロダクトとなっています。

弊社では、システム開発からインフラ設計、保守まで一貫してサポートしており、CDNを組み込んだ安定したシステム構築も承っております。
CDNを導入してスムーズなコンテンツ配信を実現したい、といったお考えの方や、こういった問題に困っているので何とかしたい、といったお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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