
キャッシュは、ブラウザだけと思っていませんか?
実はブラウザだけでなく、システム全て、例えば、ハードウェアやデータベース、アプリケーション、CDNなど、さまざまな場所で活用されています。
デジコン株式会社では、動画配信を軸としたサービスを展開していますが、自社でサービス開発や、CDNを含めたインフラ設計からシステムの保守管理を行なっている為、至る所で「キャッシュ」という単語が現れます。
(よく話を聞いて理解しないと、「どこのキャッシュ?」と思うことも。。。)
本記事では、キャッシュの種類や仕組みを分かりやすく解説します!
1. キャッシュとは?その基本概念
キャッシュ(Cache)とは、頻繁に使用するデータを一時的に保存し、次回のアクセスを高速化する仕組みです。
「キャッシュ」と聞くとブラウザキャッシュを思い浮かべる方が多いですが、実際には、
- ✅ ブラウザ(Webブラウザキャッシュ)
- ✅ ハードウェア(CPU・メモリ)
- ✅ データベース(DBキャッシュ)
- ✅ アプリケーション(APIキャッシュ)
- ✅ CDN(ネットワークキャッシュ)
など、システム全体で活用されています。
また、目的に応じたキャッシュ戦略を適用することで、より快適なWeb体験を実現できます。
2. キャッシュの主な種類と仕組み
2-1. ブラウザキャッシュ(Browser Cache)
🔹 どこで使われる?
- PC / スマホのWebブラウザ
🔹 仕組み
Webページを開いたとき、画像やCSS、JavaScriptなどのデータを端末に保存し、次回訪問時に再ダウンロードせずに高速表示を実現します。個々に利用しているブラウザ側の設定以外に、キャッシュの有効、無効やコントロールはサーバー側やJavascript、HTMLヘッダーで行うのが一般的です。
🔹 活用のポイント
- ✅ ページ読み込み速度の向上
- ✅ サーバー負荷の軽減
2-2. メモリキャッシュ(Memory Cache)
🔹 どこで使われる?
- CPU / RAM(サーバー・PC・スマホ)
- Webアプリ / スマホアプリ
🔹 仕組み
メモリ(RAM)に頻繁にアクセスするデータを保存し、データの取得時間を短縮します。使用するハードウェア、アプリケーションに応じて自動で設定されている場合や、手動での対応が必要な場合があります。システムによって異なりますので、適切に把握、管理することが重要です。
🔹 活用のポイント
- ✅ リアルタイム処理の高速化(ゲーム・金融取引など)
- ✅ アプリやAPIのレスポンス速度向上
- ✅ CPU・メモリの負荷を軽減できる
2-3. データベースキャッシュ(Database Cache)
🔹 どこで使われる?
- MySQL / PostgreSQL / Redis / Memcached
🔹 仕組み
データベースの検索結果をキャッシュし、同じクエリが来たときに再計算せずに即時返答できるようにします。キャッシュを適切に設定することでパフォーマンスを最適化できます。
🔹 活用のポイント
- ✅ ネットワーク越しのDBアクセス回数を減らし、回線負荷を軽減
- ✅ APIの応答速度向上(バックエンド負荷を低減)
- ⚠️ データの整合性を保つため、適切な更新ルールを設定することが重要
2-4. アプリケーションキャッシュ(Application Cache)
🔹 どこで使われる?
- Webアプリ / モバイルアプリ / APIサーバー
🔹 仕組み
アプリケーション内部でデータを一時保存し、レスポンスを高速化するための仕組みです。アプリケーションの処理結果をキャッシュし、リクエストを減らして処理速度を向上させます。
🔹 活用のポイント
- ✅ APIのレスポンス時間短縮(GraphQLやREST API)
- ✅ モバイルアプリのオフライン対応(回線速度が遅い環境でも動作)
- ✅ サーバー負荷軽減
- ⚠️ キャッシュの有効期限(TTL)を適切に設定し、古いデータを防ぐ
2-5. CDNキャッシュ(Content Delivery Network Cache)
🔹 どこで使われる?
- Cloudflare / Akamai / AWS CloudFront などのCDNサービス
🔹 仕組み
Webコンテンツを世界中のCDNサーバーに分散配置し、ユーザーの最も近いサーバーからデータを提供することで、ネットワーク遅延を最小化する。
🔹 活用のポイント
- ✅ 回線速度が遅い地域でもスムーズにコンテンツを配信
- ✅ サーバー負荷軽減(DDoS攻撃対策にも効果的)
- ⚠️ キャッシュの更新タイミングに注意(古いコンテンツの配信を防ぐ)
参考コラム
3. まとめ:キャッシュはシステム全体で活用し、ネットワーク負荷の最適化と表示速度の改善を!
キャッシュは、ブラウザだけでなく、ハードウェア、データベース、アプリケーション、CDNなど、システム全体で活用され、回線速度の影響を受ける環境でも効果を発揮します。
例えば、画像・動画はCDNキャッシュを活用し、モバイル通信の負荷を軽減したり ブラウザキャッシュやCDNを組み合わせて、静的コンテンツのキャッシュ期間を長めに設定すると表示速度の高速化が見込めます。
適切にキャッシュを設定することで、
- ✅ Webサイトの表示速度向上
- ✅ サーバー・ネットワーク負荷の軽減
- ✅ APIやアプリのレスポンス高速化
- ✅ モバイル回線の通信量削減
など、多くのメリットがあります。
しかし、キャッシュの管理を誤ると古いデータが表示されるリスクもあるため、適切な更新ルールや有効期限(TTL)の設定が重要です。
キャッシュの仕組みを理解し、コンテンツ配信に最適なWeb環境を実現しましょう!
