
近年3DCGの新たな手法として注目されているフォトグラメトリ。
今回は、実際にフォトグラメトリ生成事業を行っている企業が、より高品質なフォトグラメトリを生成するための手法として、被写界深度合成をご紹介します。
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フォトグラメトリの精度を左右する「ピント」
フォトグラメトリでは、複数の写真に写る特徴点をソフトウェアが解析し、それぞれの位置関係を計算することで3D形状を再構築します。
このとき、画像内の細かなディテールをしっかり認識できることが重要です。 もし写真の一部がピンボケしていると、特徴点の抽出がうまくいかず、以下のような問題が起きる可能性があります。
- モデルの一部が欠損する
- 表面が歪んでしまう
- テクスチャがぼやける
つまり、できるだけ多くの部分にピントが合った写真を用意することが、フォトグラメトリの精度を高める大きなポイントになります。
通常の撮影では「被写界深度」に限界がある
ところが、カメラ撮影では「被写界深度」という物理的な制約があります。 被写界深度とは、ピントが合って見える範囲のことです。
特に次のような条件では、被写界深度が浅くなります。
- 小さな被写体を近距離で撮影する
- マクロレンズを使用する
- 高解像度で細部を撮影する
このような状況では、手前にピントを合わせると奥がぼやけ、奥に合わせると手前がぼやけてしまいます。 つまり、1枚の写真だけで被写体全体に完全なピントを合わせるのは難しい場合が多いのです。
被写界深度合成(フォーカススタッキング)とは
そこで役立つのが「被写界深度合成(フォーカススタッキング)」です。
これは、ピント位置を少しずつ変えて複数枚撮影した写真を合成し、すべての部分にピントが合った画像を作る技術です。
原理としては、
- 被写体の手前にピントを合わせて撮影
- 少し奥にピントを移動して撮影
- さらに奥にピントを合わせて撮影……(繰り返し)
といった形で、同一の被写体に対して少しずつピント位置を変えながら複数枚の写真を撮影し、それらをソフトウェアで合成すると、被写体全体がシャープに写った1枚の画像を作ることができるのです。
この画像をフォトグラメトリに使用することで、被写体全てにきちんとピントの合った、フォトグラメトリに適した写真が生成されます。
被写界深度合成を行う方法
被写体のピントを手動でずらしていくとなると大変そうに感じますが、実際のところはそこまで大変ではありません。 フォーカスシフト撮影は近年のデジタルカメラの多くに機能として搭載されていますので、それらの機能をうまく活用できれば、比較的簡単に実施することができます。
参考:
被写界深度合成ソフト「Helicon Focus」
上記の手法で撮影が完了したら、実際に写真を合成する必要があります。
ここでは、弊社も使用しているHelicon Focusをご紹介いたします。
- Helicon Focus
https://www.heliconsoft.com/
Helicon Focusはフォーカススタッキング専用のソフトウェアで、次のような特徴があります。
- 高精度な合成アルゴリズム
- 多数の画像を高速処理
- 微細なディテールの保持
- カメラ連携による自動撮影機能
マクロ撮影や製品撮影の分野でも広く利用されており、フォトグラメトリ用の画像作成にも非常に有効です。
被写界深度合成の注意点
上記のような機能とアプリケーションを使えば簡単に被写界深度合成は行えますが、いくつかの注意点もあります。
まず1つ目は、撮影時にカメラと被写体を動かさないことです。 フォーカスシフトは同一のアングルで撮影するからこそ合成ができるのであって、撮影アングルが1枚毎に違ってしまうと、激しくぶれているような画像に合成されてしまいます。 そのため、撮影時には必ず三脚を使い、被写体も固定しておきましょう。
2つ目は、被写界深度合成は1アングルの写真を作るために複数の写真を合成しますので、撮影枚数が多くなるという点です。 特に高精度の写真を用意しようとすると、合成枚数が10枚以上になるケースもあります。 その場合は当然ながら撮影枚数も通常の10倍以上になりますので、被写界深度合成は非常に時間のかかる手法と言えます。
撮影や処理が大変な場合はプロに依頼する選択も
上記のように、被写界深度合成を取り入れたフォトグラメトリ撮影は比較的簡単に取り組めますが、それでも
- 大量の撮影
- 合成処理
- 3D生成
- モデル調整
といった工程が必要になり、慣れていないと時間と手間がかかります。
そのため、
- 「高品質な3Dデータを確実に作りたい」
- 「撮影や処理の手間をかけたくない」
- 「素早く3Dデータを生成する必要がある」
という場合は、フォトグラメトリの専門事業者に依頼するのも有効な選択肢です。
フォトグラメトリ制作を行うデジコンでは、撮影から3D生成まで一貫して対応しており、用途に応じた高精度なデータ制作が可能ですので、お気軽にご相談ください。
終わりに
今回は、フォトグラメトリの精度を向上させるための「被写界深度合成」についてのご紹介でした。 被写界深度合成を取り入れるだけで、ワンランク上の生成を行えますので、ぜひチャレンジしてみてください。
今後もデジコンではフォトグラメトリに関するトピックをご紹介していきますので、気になる方は定期的にチェックしていただけますと幸いです。

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