
近年3DCGの新たな手法として注目されているフォトグラメトリ。
今回は実際にフォトグラメトリ生成事業を行っている企業が、スマートフォンでのフォトグラメトリのコツをわかりやすく解説します。
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1.スマホでフォトグラメトリ
3DCG生成の新たな手法として注目されているフォトグラメトリですが、取り組むにはカメラや生成用のソフトが扱える環境が必要であったりと、それなりにハードルが高いのが現状です。
しかしながら、実はみなさんがお持ちのスマートフォンでも生成することが可能なのはご存知でしょうか。
スマートフォンであれば当然カメラ機能もありますので、簡単な置物などであれば、フォトグラメトリをアプリ上で手軽に生成することも可能です。
ですがフォトグラメトリの生成には覚えておくべきことやコツなどもありますので、今回はスマートフォンでフォトグラメトリを行う手順とテクニックをご紹介いたします。
2.フォトグラメトリにはiPhoneがオススメ
実はフォトグラメトリを行う上では、AndroidよりもiPhoneのほうがオススメです。
iPhoneにはLiDAR(Light Detection And Rangingの略。レーザー光を用いた測量技術)標準で搭載されており、このLiDARがフォトグラメトリの精度を高めるのに非常に有用な機能となるためです。
ですがもちろんフォトグラメトリアプリはAndroidにもありますので、Androidユーザーの方もアプリを探してみてください。また、今回ご紹介するフォトグラメトリ生成のコツはiPhone/Android関わらず重要なテクニックとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
3.まずはアプリをインストール
フォトグラメトリを生成するためには、まずは専用のアプリケーションが必要となります。
AppStoreで「フォトグラメトリ」と検索するだけでたくさんヒットします。
ほとんどのアプリで無料体験機能が付いていると思いますので、色々試してみて使いやすいものを見つけてみてください。
また、参考として有名どころのアプリケーションもご紹介させていただきます。
- Polycam
おそらくシェア率ナンバーワンのアプリ。物体の撮影はもちろん、さまざまな機能が備わっているため、まずは触ってみたいという方にオススメ。
- WiDAR SCAN
東大発のベンチャー企業がリリースしているアプリ。日本法人のアプリのため、アプリ内のテキストなども日本人にとってわかりやすい。
- Metascan
ビデオ出力機能など、SNSにあげやすい機能が充実。生成した3DCGを人に見せたりする楽しみたい方には嬉しいアプリ。
4.最初は小さい置物など、やりやすいものでチャレンジ
いきなり大きなものでフォトグラメトリを行おうとすると、かなりの撮影枚数が必要になりますので大変です。
そこで、まずは小さいものから試してみて、慣れてきたら大きなものにチャレンジすることをオススメします。
とはいえ小さすぎてもピントが当たりづらくて精度が出なかったりしますので、10cm~15cmほどのもので試してみるのがいいかと思います。
5.フォトグラメトリが苦手なものは避けるべき
フォトグラメトリの生成アルゴリズム上、どうしても3DCGを生成するのが苦手なものが存在します。
そういったものはどんなに丁寧に撮影してもキレイに生成できない事が多いので、なるべく避けるようにしましょう。
具体的には、下記のようなものは生成が難しいです。
- 光沢感が強いもの
例:金属、ツルツルした表面のプラスチック、陶器、鏡など
- 透明なもの
例:ガラス、ペットボトル、水など
- 非常に細いもの
例:筆の毛先、糸など
- 非常に小さいもの
例:砂粒、粒子、粉など
- 特徴を捉えにくいもの
例:白一色の玉、単色で凹凸のないもの全般
- 被写体内に死角があり捉えにくいもの
例:複雑な形状のツボ、入り組んだ形状のオブジェなど
逆に、ゴツゴツしているものや光沢感がないようなものはフォトグラメトリを行うのに非常に向いています。
具体的には、石膏像や石っぽい質感のもの、ぬいぐるみなどの布地のものなどです。
6.撮影する空間を用意しよう
フォトグラメトリのクオリティは写真に大きく依存するため、写真の撮影はとても重要な要素となります。
では具体的にどんな写真がいいかといいますと、
- ワーク(3Dモデル化する対象となる物体)に均一に光が当たっている
- ワークに映り込みがない
- ワーク周辺にムダなものがない
といった条件が揃っている写真ですと、アプリの処理がキレイに行われます。
そういった写真を用意するためにオススメなのが、物撮り用の白い撮影ボックスです。
撮影用の白い空間を手軽に用意することができますし、LEDライト搭載のものであればワークに対してかなり均一に光を当てることができます。
弊社も簡単なフォトグラメトリ生成時には使用していますが、これがあるだけで生成のクオリティは大きく向上するので、クオリティを挙げたい場合は安いもので構いませんので用意するといいでしょう。
7.正面から照明を当てよう
3DCGをキレイに生成するためには、ワークに対して影が落ちていないのが理想です。
そのため、可能であればワーク正面からきちんと照明を当て、影が落ちていない写真を撮りましょう。
こういった撮影には、リングライトを使用するのがオススメです。
こちらも安価なもので構いませんので、クオリティアップを目指す際には試してみてください。
8.とにかくピントをあわせる
フォトグラメトリは写真から3DCGを生成しますので、写真がボケていると、当然生成された3DCGもボケた仕上がりになります。
逆にピントがあたっていればそれだけ測量のクオリティも向上し、3DCGもくっきりとした輪郭のものが出来上がってきます。
アプリを使用してのフォトグラメトリ生成はオートフォーカスに頼ることも多く、ピントの追求にも当然限度が生じてしまいますが、可能な限りピントがあった撮影を意識してみてください。
もちろん、手ブレなどの人為的なボケなどはなるべく排除したほうがクオリティが向上しますので、気になる方は三脚を用いて固定するなど、可能な範囲で工夫をしてみるのもいいでしょう。
9.撮影枚数は多いほうがいい
フォトグラメトリはワークに対して様々な角度から撮影を行うことで、ワークの形状を正確に測量して3DCGを生成します。
そのため当然ですが生成に利用する写真は多いほうが精度が上がります。
しかし、だからといって適当に枚数をいっぱい用意すればいいわけではなく、様々な角度を均一に撮影していくことが大事になります。
こういった撮影を手作業で行うのは非常に大変ですので、精度を上げるためには回転テーブルを使用することをオススメします。
回転テーブルは手動のものと電動のものがありますが、均一に撮影することを目標とするのであれば電動がオススメです。
電動テーブルの中にはリモコン制御で指定の角度を回転させる機能を搭載しているものも多数ありますので、そういったものであれば非常に均一な撮影が可能となります。
また、被写体をひっくり返すなどして、全ての角度からの撮影を行うことも重要となります。
可能な限りすべての角度から撮影しましょう。
10.それでもクオリティが上がらない場合は
前述のコツを意識することで、生成クオリティはぐっと上がると思います。
もちろん全て実施していただくのが一番いいのですが、難しい場合は取り組みやすいものからチャレンジしてみてください。
しかし、場合によっては全てを試したけどクオリティが上がらない…というケースもあるかと思います。
そういった場合は一般的な撮影環境でのフォトグラメトリでは難しいワークを選んでいたり、環境の限界があったりと、自身の手では解決が難しい場合も多いです。
そういった際には、プロに依頼をしてしまうというのも1つの有効な手段です。
デジコンでは長年の撮影ノウハウに基づいた知見と、最新のAIを駆使した生成ソリューションで、短納期、リーズナブルに3Dデータ生成を実現します。
従来のフォトグラメトリは膨大な数の写真から人の手で3Dデータを作成していたため、1つのデータ生成だけでも1週間かかるようなケースがほとんどでした。ですが、デジコンでは最新技術により、その処理を自動化しているため、スピーディなデータ提供が可能です。
これによりスピーディな納品はもちろん、他社では難しい大量受注にも短期間で対応可能です。また、ボリュームディスカウントもご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
